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娘の妻にされました3

白いシャツに男物のジーンズという姿の歩実に腕を引かれ、秋人は春の暖かい日差しの中で気も狂わんばかりの恥ずかしさを味わっていた。
今までも何回か女装姿で買い物に行かされた事はあるが、スカート姿での外出は初めてだった。しかも家できさされている大人しめのスカートとは違って、すれ違う男性が皆凝視するほど短い丈のキャミワンピである。
「ほら、あまり恥ずかしがると化粧が崩れるぞ。」
歩実にそう言われても、顔から出る汗は止まらなかった。
二人はそのままの姿で地下鉄に乗り込む。それは秋人がほんの少し前まで通勤に使っていた路線だ。端から見れば若い男女のカップルにしか見えないかもしれないが、実際のところは女装した父親と男装した娘なのだ。乗り慣れた車両に娘に手を引かれて乗り込んだ秋人は人々の好奇の目に晒されながら吊革を握りしめた。

「あ、あなた・・・お、お許し下さい!」
歩実に逆らってはいけないことを知りつつ秋人はさすがに大きな声で懇願した。
「どうしてだ?お前はここに用があるんじゃないのか?」
「そ、それは・・・・でも・・・」
駅を降りた時から嫌な予感はあった。しかし、いくらなんでもここに連れて来られるとは思わなかった。そう、この間まで秋人が勤めていた会社に。
「ほら、俺も付いていってやるからさっさと来い!」
歩実は乱暴に秋人の手を握ると嫌がる彼を引きずる様に社内に連れ込んだ。
「いらっしゃいませ。どういったご用件でしょうか?」
可愛らしいピンクの制服を着た受付嬢が、その場にふさわしくない服装の二人に尋ねる。
「雪平ですけど、営業部の山中課長に用がありまして。」
歩実が答える。受付嬢と知り合いの秋人は顔を上げることもできない。
「どういったご用件でしょうか?」
「こいつの退職手続きを行いに来ました。ほら、挨拶しろ!」
秋人は下を向いていた秋人の顔を無理矢理上げさせる。秋人の顔と「雪平」という珍しい名字で彼の正体に気が付いた受付嬢は唖然とした表情をした。
「ゆ、雪平さん・・・なんて格好を・・・。」
秋人はあまりの恥ずかしさに言い訳さえ思いつかなかった。
「こいつはね、女装趣味が高じて女になりたいみたいなんだ。あっ、遅れました私は息子のあゆむです。」
受付嬢は歩実の言葉を鵜呑みにし、クスクスと笑いながら答えた。
「まぁ、そうだったんですか。でもとってもお似合いですよ。私前から雪平さん女性っぽいなと思ってたんです。」
「そうでしょ、まぁ僕もオヤジがこんなになって驚いてるけどね。」
歩実はこともなげに答えた。
「でしたら、営業部は三階ですのでどうぞ。」
受付嬢はロビーのエレベーターを指し示した。
「どうも、ありがとう。ほら、いくぞ秋人!」
二人の恋人の様なやりとりを見て受付嬢は笑いを堪えきれずに言った。
「雪平さん、とってもお似合いのカップルですけど・・・服装はお年のわりに派手すぎですよ!」
「ほら、言った通りだろ。いい年して若い娘みたいな服が着たいなんていいやがって。ほら、パンツ見えそうじゃないか。」
歩実はそう言いながら、秋人のキャミワンピの裾をつまんだ。
「きゃっ!」
秋人は慌てて裾を押さえる。
「まぁ!下着まで女物なんですね!」
受付嬢が驚く。後輩の若い女性にパンチラを見られたショックに秋人はロビーの柔らかな絨毯に足から崩れ落ちた。

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